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すの日常

第11章 踏み出す勇気


時間があれば一緒に過ごす

それが私と照の日常で

当たり前の日々だった


嫌になるぐらい毎日一緒にいて

好きになるのが必然なぐらい側にいて


それでも踏み出せない一歩に

もどかしくてイライラする



今日だって

ドラマの撮影に出かけていく照を

ただ見守ることしか出来なくて


あんな可愛い人が相手役なら

嬉しいよね…



なんて拗ねて凹んで自己嫌悪に陥って

情けなくて涙が出るけど


それもこれも勇気が無い自分のせいだから

仕方がない


「行ってらっしゃい…」


そう家から送り出す声が

沈んでしまう




「何…どしたの?

なんか元気なく無い?」



そう聞かれても



「別に…何もないから…」



なんて素っ気ない言葉と

態度を返してしまう自分が


可愛げのかけらもないことも


ちゃんとわかってる



なのに照は

そんな意味不明に不機嫌な私にさえ



「じゃあ…行ってくるけど…

今日は早く撮影終わるから一緒に飯食お?

その時ちゃんと話聞くから…」



なんて優しい言葉をかけて


変わらない笑顔で玄関を出ていく…



「ごめんね…」



扉が閉まる瞬間

そう呟いた言葉は


きっと照には届いてなくて


言えない"大好き"の言葉が

また胸の中に重く降り積もって行く…
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