第10章 甘い誘惑
待っててね?
そんな舘様の甘えた言葉には
全力で聞こえてないふりをして
ベッドに潜り込み
ぎゅっと目を閉じる
だって…
酔っ払いの舘様は
とてつもなく
厄介だから…
早く眠ってしまいたいのに
ドクンドクンと心臓の音がうるさくて
眠れない…
ガチャリと扉が開く音に
体がビクッと跳ね上がる
「〇〇…?」
舘様の私を呼ぶ声に
閉じている目をさらにギュっと閉じ
動かずにいると
ゆっくりとベッドが沈み
私の体を舘様の体が包み込む
「寝ちゃったの?」
そんな耳元で囁かれる甘く低い声に
体がピクリと反応してしまう
それでも必死に目を閉じていると
ふっと小さな笑い声が聞こえて
首筋に柔らかい唇が触れる感触がした…