第1章 やきもち
キョトンとした顔をして
俺を不思議そうに見つめるしろちゃんに
「やっと顔見せてくれた笑
ずっと下ばっかり見てるから…」
そう言って顔が見れたことが
嬉しくてにっこり笑うと
しろちゃんはなぜだか慌てたように
また下を向いてしまう…
「しろちゃーん?」
名前を呼んでも
ちっとも顔を見せてくれないしろちゃんに
「さっきの問題…教えようか?」
そう言うと
やっと小さくしろちゃんは頷く…
仕方なく視線を教科書に移し
"ここはね…?"
と説明を始めると
しろちゃんは俺の方に体を寄せて
俺の説明に集中する…
こんなふうに
少し距離が近付くだけで
俺はドキドキするのに
しろちゃんは…?
そんなことを考えていると
「ラウちゃん…?」
そう名前を呼ばれて
顔を上げると
しろちゃんの冷たくて小さな手が
俺のほっぺたをゆっくりと包み込んだ…