第1章 やきもち
トントンっと
扉を叩く音がしてベッドに寝転がる
俺の髪にゆきの手が触れる
「康二は…?」
そう目をつぶったまま聞くと
「もう帰ったよ?
なんか…二人の時間邪魔してごめんって
謝ってたよ笑」
なんてゆきは楽しそうに笑う…
「涼太の好きなアイス買ってきたんだけど
一緒に食べない?」
「……」
「涼太?」
頭では理解してる
ゆきは何も悪く無いって
それでも
今日康二と笑いあった時間は
俺と過ごすはずの時間で
今日康二に向けられた笑顔は
俺のものだったはずなのに…
こんなことで嫉妬するなんて
大人気ないことも
ちゃんとわかってるのに
感情が上手くコントロール出来なくて
心配そうに俺に触れるゆきの手を掴んで
ベッドに押し倒すと
驚いた顔のゆきが俺を見つめていて
少しだけほんの少しだけ
傷付けたくて
強引なキスをする
何度も何度も角度を変え
触れる唇に苦しそうな息が漏れる…
ゆっくり唇を離すと
少し涙目のゆきと目があう…
俺だけを見つめる目に
少しの優越感と
少しの罪悪感を感じながら
「ごめんね…
ちゃんと俺のこと見てほしくて…」
そう言って
こぼれ落ちた涙を拭うと
そんな俺の手にゆきの手が触れて…
「いつもちゃんと涼太のこと見てるよ…
今日のご飯二人で食べたかったことも
ちゃんとわかってたよ?
でも康二くんも寂しそうだったから
ほっとけなくて…
だから涼太に機嫌直して欲しくて
アイス買ってきたんだよ…?」
そんな言葉と一緒に
俺の体を引き寄せゆきは優しくキスをする…
たったそれだけで
幸せな気分に満たされる俺は
案外単純なのかもしれない…
二人で過ごすロイヤルな夜
好きの分だけゆきに俺のものって
しるしを残して
二人だけの時間を思う存分味わおう
でも次の日の朝
ベッドから起き上がれないゆきに
文句を言われたことは
言うまでもないよね笑?
〜宮舘さんの場合〜