• テキストサイズ

幻想科学物語-つかの間の閑話-

第2章 人を繋ぐメンタリスト






ルーチェが紙包みと匙をわたすと、子供の親はありがとうございます、とお礼を述べる。


ルーチェは追加で、感染を防ぐためにも手洗いはしっかり行うこと、できる限り衣類の清潔を保つこと、など注意事項を何個か述べて立ち上がる。


「ルーチェ先生、治ったらいっぱい遊んでね!」


「うん。お大事に。」


ルーチェがそう告げると、子供はにこっとわらった。
その笑顔を見つめて、その場を後にする。お見送りに、子供の親がルーチェの背中を見送った。


ルーチェの背中が消えるとそれと入れ違いに1人のおばあさんが親に話しかける。


「あんたはあの娘を信用してるのかね。」


「ルーチェさんはルリ様の病気を治したし、ほぼ飲まず食わずで看病したって話ですよ。それに、子供たちからも評判でしてね。言われた通りにすると、子供の風邪の治りも早いんですよ。」


「そうはいっても、妖術つかい、なんだろ?なにかされないか怖くてねぇ。」


「やめてくださいよ。なんでも、よっぽど重病な場合を除き、自己修復力?やらの低下を防ぐために1から丁寧に治療していたみたいですよ。ほら、寒いですし、中に入りましょう。」


そう親の方に促されると、はぁ、とため息をつき中に入る2人だった。


その会話を聞いている紫の影がいたことにも気づかずに…


「まぁそうだよねぇ。ルーチェちゃんが普通の医者ならともかく
魔導士、だもんね。お年寄りからしたら、ねぇ。」


そう呟くと、その影は村とは反対の方向へと向かっていった。



.
/ 19ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp