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幻想科学物語-つかの間の閑話-

第3章 魔導士からのプレゼント






「相手のこと、よく見る…」


ルーチェはゲンの言葉を繰り返すと、口を噤む。
ゲンはただそばに立ってじっとルーチェの表情や視線をみつめた。


(スイカちゃんなら、何を貰っても嬉しいと思うけど…)


そう思いながらルーチェのことを見つめるゲン。ただ静かな時間が流れていたが、あ、というルーチェの声が響いた。


「おもいついた、かも。」


「そ、ならよかった。それよりも早く行かないとご飯無くなるよ?。」


「先に行ってて。私は最悪自分で狩る。」


ルーチェは大量の紙と、傍からペンを取り出しなにか書き物を始めた。
ゲンは、やれやれ、と肩を竦め、ほどほどにね?、と声をかけて診療所を後にした。


残されたルーチェは、紙になにやら設計図を書いていく。


(たしか、この式をここに書いて、それでこうすると……)


ブツブツ言いながらこれまで学んできた魔導陣らしきものを書いていく。
しばらく書き続け、その量はなんと十数枚になった。


1枚1枚出来栄えを確認していき、カバンの中にそっと入れる。その次にはいつぞやくすねたガラスをカバンの中に入れた。


(誰も、いないわよね?)


人の気配がないことを確認し、ルーチェは木の板を削った不在の伝言板を立てた。


(どうか、上手く行きますように。)


そう心の中で呟き、小石を拾いながら、あるいは今夜の食料に、と小動物を捕まえながら、森の方へとあゆみをすすめた。


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