第3章 前日譚3:貴方の覚悟は凪のように
《AnotherStory》闇夜の太陽:前日譚3
2(1/1)/5P┃ドリノベ版04/09P┃0600字
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辺りは人の来ないような郊外───崖の下なので、やたらと暗いのが幸いしている気がした。
でも。ですが。だって。
(ムリムリムリ~~~!!!!)
コラさんと抱き合うとか死んでしまいそう。
(分かってるの。こんな[ラッキースケベ]みたいなヤツに私が耐えられないのは……)
離れた方が心身ともにイイのは確か。だけれどこんな機会を自ら手放すのも愚の骨頂。
(う”~~~~~~!!)
『放す』『離さない』と交互に小さくつぶやいて、ジレンマを何度も頭に浮かべていた。
(く、苦行…………)
どんな決断も下せないままに、たたただ目の前にある金色の髪を眺めていたら、ふいにコラさんの抱き返していた腕の力が強くなる。
ギュッと。
(え……………………………………)
それはまるで普通に〈恋人同士のハグ〉みたいなレベルのものだと思う。
(い、いいの……?コラさん…私にこんなことしたら、危ないんですよ?)
迷っていると、あたかも答えるようにしっかりと抱きついて濡れた頬をすり寄せてきていたコラさん。
(な………も、もう知らないんだからね。我慢なんてできなくなるんだから私!!)
結局、若干明るくなってきた頃まではなんとか頑張ってた理性も、変わらず腕の中にいた彼に崩れてしまう。
なのでもう開き直って頬ずりとかして、指に髪を絡めてみたりする。
少しずつ落ち着いてきたら、今度は人肌の温かさやコラさんの匂いに安心できてゆったりと目を閉じた。
『幸せすぎる微睡みだ』としみじみ思う。