第3章 前日譚3:貴方の覚悟は凪のように
《AnotherStory》闇夜の太陽:前日譚3
1(2/3)/5P┃ドリノベ版02/09P┃0650字
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「なにをやってんだおれは……悲劇の町に生まれたガキに……さんざん悲劇を思い出させて、結果少しもよくなりゃしねェ……!」
(え!?)
コラさんと二人で夜の暗い海を眺めながら軽く話をしていたら、いきなりそんなセリフを口にして───持っていた数枚の地図を海にばら蒔いた。
(もうそんな時期なの………?『私』と言う部外者がいる時にまさか、本音を吐露するすごく大事なシーンが訪れるとは思わなかったんだけれど……)
私が返事をしなくても、全然気にしないコラさんは[原作通り]にポロポロと言葉を紡いでいっている。
「おれはずっと…同情してた……キズつけるだけのこんなバカに言われたかねェだろうが………まだ幼いクソガキがよ…『おれはもう死ぬ』なんて……………───かわいそうで………!!」
「コラさん……」
ふらっと寝ているローくんの所に行き、落ちていた掛け布を直しながら彼の言葉は続く。
「あん時、お前おれを刺したけど………痛くもなかった………!!痛ェのはお前の方だよな………かわいそうによォ………!!ロー………………!!!」
「ぐす……ウウ」とめちゃめちゃ大泣きしているコラさんが、ずるっ!!ガシャン!!「いて!!」と転んだ時に駆け寄った。
大好きな人の悲痛な叫びは、実際に目の前で見てしまうと、とても冷静でいられない。
今がどうとかはもう考えられなくて………気づいたら私も涙を溢して、コラさんを抱きしめている。
ゆっくりと背中をさすって「大丈夫………大丈夫……」と涙声で繰り返す。
震える手ですがりつくように、ゆるく弱く抱き返された時に『今、この場にいれて良かったんだ』と本気で思えた。