第2章 前日譚2:コラさんとにどめまして
《AnotherStory》闇夜の太陽:前日譚2
3(1/1)/5P┃ドリノベ版03/06P┃0800字
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
色とりどりのおにぎりが並ぶ箱を見つめてゴクリと喉を鳴らすロー。でもすぐには手に取らずにコラさんに視線を送り、判断を仰ぐ。
(おにぎりとかきっと久しぶりだもんね)
「…食ってもいいのか?なんで……おれ達に親切にするんだ」
「んーと『どこの病院や町でもされる扱われ方がいやだから』は答えになる?私は[珀鉛病]が感染病じゃ無いことも知ってるし、全然気にしないから普通にしてくれると嬉しいんだけどな。えっと『ロー』くん?」
「あ……………………………」
一瞬だけすがるような瞳をしたけれども、すぐに首を振ってごまかす。
(そういうのが切ないんだよ……)
「毒とかは入って無いですよ。貴方もお気軽にどうぞ!」と言って重箱なお弁当箱をコラさんに差し出して、お茶も一緒に渡した。
次の瞬間に私をじぃ───と見てくる。
(……………は、恥ずかしいから、ね……)
恐らく視線の意味は『私の真意や人柄を見抜きたいから』ってのが分かったから、目を逸らしたいのを堪えて、血液が沸騰するのも厭わずにコラさんと見つめ合う。
数秒───数分だったのだろうか、コラさんと視線を絡ませる時間はどんな理由でも私には至福で、永遠に続けば良いと思う時間。
そしてコラさんはふっ、と表情を緩める。それは私が初めて見て、これからずっと向けられることになる、優しいものだった。
(…信じて、くれたの?)
「ロー………この人は大丈夫だ。こんな人が悪意を隠せんなら、おれは誰も見抜けなくなる」
「……分かった」
自分なりに私を測ってたみたいなローくんだけど無事に合格したようだ。良かった。
「怪しいと少しでも思ったら殺すからな」
「うん。そんなことは[天地神明]に誓ってないから構わないよ」
二人の言葉が嬉しくて微笑めば、ローくんはなんだかとてもバツが悪そう。
「ご飯も『怪しい』とか気になるのは指定してくれれば毒味するから。あと、口に合わない場合は無理しないで良いからね」