第2章 白猟【白煙の向こう側】後日談あり
(行為中だっていつだって葉巻を吸い続けるんだから、ある意味本当に器用だよね)
そんなことを考えながらベッドで上半身を起こしている彼の腰に絡みつく。
「ああ………お前の『妊娠』は日頃の体調の変化を病気かなにかと思って、医者達を問い詰めたから知ってる。お前はおれのガキじゃなければ、辞表出したりしねェだろうしな」
「あ──そうだね。そうだったんだ」
「んで[辞表]は握り潰しといた」
(この男は………)
「…でも妊婦はこの隊では足手まといじゃ」
「だから[異動]はしてもらう。おれんとこは常に戦闘してナンボのとこだからな。准将クラスじゃ専門の秘書や文官はまだ持てねェし。だから一時期だけ[青雉大将の専門秘書]になれるようにもう話はついてる」
「わ、分かった………ありがとう……」
(用意周到…色々先回りされた感じ…)
[海軍]には〈家族は同じ隊にいることができない〉という規則があるので、私とスモーカーさんの婚姻は『出産後に彼の部隊に戻るため』に極秘裏にすることにした。
(そんな感じだから……実際は今までとあんまり変わらない。得てして[事実婚]が実は本当になっただけ)
私は『産まれた子供にベビーシッターを二人付ける』のを条件にシングルマザーとして出産、育児を[海軍]所属のままに行えることになっている。
(本当にありがたいお話にしてくれた。スモーカーさんとの仲も『セフレ的な事実婚で私は好きなんだけどね』とかを変わらずに言っておけば、彼はヒドイ男扱いになるけどまず疑われないし、むしろ同情的になってくれるから)