第3章 復帰ライブ
「レオちん。おれはなるべくこの話を公にしたくない。曲を作るのは止めないけど、深追いはしないでほしい」
「…理由を、聞いてもいいか」
「仮にその曲がおれのことを歌ってるのがバレた時、困るのはおれの幼馴染なんだ。できるだけ迷惑はかけたくない」
「に〜ちゃん先輩、他にも理由あるでショ」
「夏目ちんには敵わないな(苦笑)。他に理由があるなら、おれはあいつのことになると歯止めが効かなくなるらしい。なんとなくそんな気がするだけで確信はないんだけどな」
「わかった。ナズがそこまで言うなら諦めるよ。オレは誰かが悲しむ歌は作りたくないからな!」
「ありがとう、レオちん。夏目ちんも。」
「ボクは何もしてないヨ」
頭の切れる二人で助かったな。
薫ちんが澪のことを狙ってるって言った時からモヤモヤが消えない。
澪を困らせたくないのも本当だけど、
一番は、澪がたくさんの人に知られることが怖いんだ。
今日、久しぶりに会ったあいつは、最後に会った時よりもうんと可愛くなってて。
薫ちんが目をつけるのもわかる。
だけど、あいつを…澪を好きになったのはおれが一番最初なんだ。
絶対誰にも譲らない。
話の流れで澪は彼氏の存在を否定した。
きっと薫ちんの他にも澪を狙ってる奴なんてたくさんいるだろう。
アイドルが恋愛感情を持つのはもしかしたら御法度なのかもしれない。
それでもおれはアイドルになる前から好きだった、
一人の人間、仁兎なずなとして、澪が好きなんだ。
……。
部屋に入る前に薫ちんに会わなかったら決心がつかないままだったかもしれないな。
薫ちん、ありがとう。
不本意かもしれないけど、おれの決心を固めてくれたから。
澪のことが大好きでたまらないって再確認させてくれたから。
次に会ったら、必ず澪に告白するんだ。
結果がどうであれ、おれの素直な気持ちをちゃんと伝えよう_____。