第4章 《1部/前編3/5話/3P》07 08 09
〈子供時代編〉【08 ジェルマに生きる者】
〈03/10話│2(1/2)/3P│1500字〉
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『サンジは死んだ』
兄弟を集めてジャッジさんがそれを伝える。
(ああ……ついに……………)
みんなの反応をうかがって見ても、兄達はイジメてた相手のことなのに、なんでもないことのように聞いているだけ。でもレイジュさんだけはおどろきの表情の下に感情を隠すように唇を噛みしめていた。
深夜──ほとんどのものが眠りに就いている時刻。
一人で牢獄のある棟をこっそりと訪れた。
ちなみに私は『血統遺伝子をいじられた影響』なのかは分からないけど、夜目がかなり利く。月明かりだけで十分なくらいに見えるほど。
訓練のたまもので、物音を立てないように静かに行動するのもとても容易だった。お目当ての牢まで行って、中で寝息を立てる存在をただ見つめる。
(サンジ……………)
事実、いつもみたいにすぐに抱きついて『大丈夫なんだからね』って笑って言いたい。
だがかようなことはもう絶対にしてはダメ。
やるせない気持ちで握った拳は血が出ていた。
そして、明朝───
サンジの形だけの葬儀が盛大に行われ、息子を悼む父のスピーチに周りの人々が憐れむ。
この『ジャッジさんの言葉はある意味うそではないんだろう』と思いながらぼぅっと聞く。
あの人は本当に『サンジだけが失敗作なこと』をなげいているのだから。
やたらと『自己中心的な考えと行動』だとは思うけれども───だが[力]を与えて[才能]を伸ばさせる。と言うのは形や種類は違えどふつうに[親]ならありうること。
自分のために、いや、自分の野望のために、役立つ子供達を一生懸命に作った結果のお話。
すごく歪んではいるけれど、これがある意味ではあの人なりの愛情の形なのかもしれない。それが『多人数』なのも本気がのぞける。
(ほんとうに色んなものを犠牲にしても叶えたいんだろうな。一人じゃないあたり『イタズラに』じゃないよね)