第2章 《1部/前編1/5話/3P》01 02 03
〈第1章 子供時代編〉【03 母との約束】
〈01/10話│3(1/2)/3P│1400字〉
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『ゴジがマゾヒストなのでは?』と強く疑問を抱きながらも、私達はすくすく成長した。
三歳まではソラさんと一緒に離れの病棟に居れたのだけれど、三歳誕生日の翌日からはジャッジさん達が住んでいるお城の中心部分に移されるらしい。
そして、いよいよ巣立ちの時間が訪れた。
「おかあさんっ!」
「ロクジュ……」
体を悪くしているソラさんは、たくさんの船が変形して成り立つジェルマ王国の最後尾にある病棟にいるので、中心部に行ったら頻繁には会えなくなってしまう。
彼女に強く抱きついてひたすら別れを惜しむ。
そんな私とは裏腹に、ゴジは[寂しい]と言う感情が無いのか、そんな私達をキョトンとした顔で見ている。
「おかあさん、からだにきをつけてだいじにしてね。むりはぜったいにしないでね?」
「心配してくれてありがとう。でも大丈夫なのよ。ロクジュとゴジがいてくれたからお母さんスゴく元気になったの!実は結構調子良いんだから。ロクジュがお嫁さんになるのだって見届けられるわよ!」
「ほんと……?」
「本当よ!………だからロクジュも辛いことを一人で抱え込んではダメだからね。お母さんもレイジュもサンジもずっとあなたの味方なんだから、いつでもなんでもお話して。みんなロクジュが大好きなんだから。約束よ」
「わかった、やくそくするから。おかあさんもやくそくしてね。ぜったいながいきして!」
「うん。約束するわ」
ソラさんの温かくて柔らかな腕の中で、涙で濡れた顔をして見上げると子電伝虫をそっと渡してくれ、人差し指を口に当てて、優しくキレイに笑った。
小指と小指を絡めて約束を交わす。