【ONE PIECE】Completed〈ジェルマ妹〉
第3章 〈1章3話3P〉【07 08 09】
〈第1章 子供時代編〉【07 サンジ】
〈03/10話│1(1/2)/3P│1500字〉
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それは剣道の鍛練が終わった時のこと。私は汗を拭きながら、水分補給のためにその場を離れていた。
(今この時なら、みんなも飲んでくれるよね)
用意されていた人数分のボトルを持って戻ろうとした時に偶然、本当に偶然に聞いてしまう。
「──なぜ、サンジだけ弱い……スコアは開く一方だ」
「検査の結果が出ました。イチジ様、ニジ様、ヨンジ様、ゴジ様、ロクジュ様に至ってはすこぶる順調で[外骨格]も発現し、体のバネも腕力もすでに成人男子に匹敵する数値───しかし、サンジ様は………申し上げにくいのですが………[失敗]と言わざるを得ません。確かに[血統因子]の操作は6人共成功したはずでした─ ──しかし、それがどういうわけか、今生まれたままの形に……」
「つまり?」
「サンジ様は……ただの人間です」
(あ…………………………………………)
ジャッジさんが検査官みたいな人に報告されている内容を聞いて、その場から動けなくなる。
周りの音がなにも聞こえなくて、心臓の音だけがいやに大きく鳴っていた。
(…いよいよなんだね……サンジ……)
元々優しくなかったジャッジさんがこの報告を受けてから、サンジに特にひどい扱いを始めていく。彼の───恐らく[ジェルマ]での一番辛い日々が訪れるのだ。
(現在の私にも『サンジのために』できることはあるだろう。でもイレギュラーな私がこれ以上、なにかしてもいいのだろうか……)
産まれてからの数年、散々サンジに甘えて頼って来たのに、いまさら[原作]への影響が怖くなってしまう。
(分からない……分からないよ……)