第2章 《1部/前編1/5話/3P》01 02 03
〈第1章 子供時代編〉【02 ゴジの存在】
〈01/10話│2(2/2)/3P│1400字〉
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「あー、」
不意にゴジが私に話し掛けてきた。凝視するように眺めていると、小さな手を伸ばして私の顔や髪に触れ、そしてなぜか撫で回される。
(なに………?)
こうやってゴジはたまに私に触っていた。
(やっぱり女体に興味があるんだろうか。こんな幼い時からなんて筋金入りだわ。一年は一緒に過ごしたのに相変わらず謎過ぎる存在。いくら双子で産まれていても、彼も兄達みたいになるんだったら、私はコイツじゃ無くレイジュさんとサンジと仲良くしよう。私もイジメられるならサンジと一緒に出て行っても良い)
ゴジにたくさん撫で続けられながらそんなことを考えていたけど、流石にウザくなってくる。なにも抵抗しない私に好き勝手で調子に乗ってるに違いない。
『うっとうしい!』と思いを込めてゴジを思いっきり蹴ってみた。わりと大きな音がして手応えもあったから、多分鳩尾に入った感じ。ゴジもちょっとは痛かったみたいで顔を歪めた。
……けれど。
次の瞬間にはなぜか嬉しそうに私を撫で回す。
(なんで、なにが、そんなに嬉しいの?確かに私がゴジを振り払ったり攻撃したのは初めてのことだったけれども…………でも、なんでそんなに喜んでいるんだろ?)
ますます私に触ろうとして手を伸ばしてくるゴジがすごくいやで、手を払い除けて頬を思い切り、力の限りでつねった。でもゴジは怒るどころか喜ぶ。
(………こわいこわいこわい)
どこかうっとりしてる気がする謎過ぎるゴジにハッキリとした恐怖を抱いたのは、この時が初めてだった。
(コイツもヤバい…………………)