第1章 燐—りん—
「…………悪い子だなぁ、おまえら」
黎の。
視線が刺さる。
見てる。
見られてる。
黎に。
「…………お互いさま」
瑠璃の髪を撫でながらそう、目を伏せれば。
黎の指が、髪へと触れた。
思わずあげた視線に、黎の視線が絡む。
「…………き、今日、も…………、する、の?」
きゅ、て。
僕たち2人の腕を掴みながら。
瑠璃が辿々しく、俯きながら呟いた。
瑠璃の頭より上で、黎と視線を合わせ、どちらかともなく、笑みが漏れる。
かわいい。
かわいくてかわいくて。
世界一かわいくて。
…………可哀想な、瑠璃。
「したいの?瑠璃」
「え」
「瑠璃がしたいなら、いいよ」
「え」
「おまえが決めろ」
「…………っ」
ザワザワ ザワザワ
階段の上でも下でも。
生徒たちの行き交う声。
足音。
そんな中でも。
どんな小さな声でも。
瑠璃の声なら、聞き逃さない。
「…………した、ぃ」
真っ赤になって俯く瑠璃の頭上で、黎とふたり、ほくそ笑んだ。