第2章 黎—れい—
「東先輩!!」
校門の前。
燐とふたり、スマホ見ながら瑠璃が出てくるのを待っていれば。
そう、声をかけられて。
振り向いた先に知らない女がふたり。
「…………何」
「東さん、さっきクラスの子に呼び出されていなくなっちゃいましたよ?」
「は?」
「連絡なかったです?」
「…………」
なんだこいつら。
悪意。
明らかに悪意を持って、俺たちに近付いた。
瑠璃への、悪意。
それは隣の燐も同じだったようで。
「さぁ、どうだったかな。」
静かに平静を保ちながら。
目がめっちゃキレてる。
「…………なんだ、あれ」
「さぁ。黎のファンとかじゃない?」
「俺?え、やだあーゆー性格悪いの」
「俺だっていらない」
「めっちゃキレてたもんな、燐」
「瑠璃のまわりはあんなんばっかなんよな。学年の差はなぁ。手が出ない」
「それな。俺ら卒業したらどーするか」
「…………それなー」
淡々とふたり、階段を登り。
3階端にある瑠璃の教室の前で足を止めた。
「鞄あるっつーことはぁ…………」
「体育館?」
「屋上?」
「んー」
「…………待つか。」
「妥当」
「いつかは戻ってくんだろ」
「おん」
よいせ、って。
壁へと寄りかかり腰をおろし、スマホへと視線を向けた。
手持ち無沙汰に、燐が俺の髪を結い始めて。
時々燐の唇が耳や首筋へと、伝う。
「燐、くすぐったい」
「黎いい匂いする」
「同じ柔軟剤にシャンプー使ってっだろが」
「そーゆーのじゃなくて」
「どんなのだよ」
「こーゆーの」
ふ、て。
影が出来て。
目の前に同じ、顔。
小鳥みたいなキスをして。
燐が離れてく。
物足りなくて燐へと噛みつこうと、すれば。
「残念。瑠璃のご到着」
意味ありげに笑って。
燐が立ち上がった。
「ねぇ黎?」
「ぁあ?」
「僕たち以外とふたりきりになった、って、ことになるのかな」
「は?」
「無防備だね」
こいつは。
つくづく敵にまわしたくねぇな、って常々思うよ。
「どんな罰がいいかな。ねぇ黎?」