第2章 黎—れい—
「…………ぁ、あたしあの、ごめ…………っ、顔、洗ってくる」
「瑠璃」
青ざめた顔してパタパタパタ、て。
瑠璃の足音が遠ざかっていく。
「おまえねー、瑠璃にさせんなよあんなの。」
「あんなの?」
「あれじゃ黎の自分よがりなエッチに付き合わされただけじゃん、瑠璃」
さっさと瑠璃の吐瀉物をテッシュへ包み、ご丁寧にアルコールまで撒いてくれちゃって。
なんだかんだ、燐は甘い。
袋を閉じて。
最後の仕上げだけを俺へと渡す。
「捨てるくらいいいだろ」
「…………なんも言ってなくない、俺」
パタン、てドアを閉じて階段を降りれば。
ちょうど瑠璃と鉢合わせ。
「黎」
「ん?」
「…………あたしちゃんとするから」
「は?」
「もっと練習して上手くなるから。他の女とエッチしないで」
「は?練習って…………?っか何他の女って」
瑠璃以外抱いたことも抱きたいと思ったことねーよ。
「…………友達と、話してるの聞いた」
「…………いつ?」
「委員長?さん?綺麗で色っぽいって。相手してほしーって、黎ゆってたもん」
「…………は?」
いや。
てか。
え?
いつの話。
まっったく覚えてねぇ。
「瑠璃待てって」
「…………」
「…………瑠璃以外、抱きたいなんて思わないから」
「じゃぁ」
「うん?」
「——————燐のことは?」
「…………」
燐、の、こと?
「瑠璃、黎」
ガタン、て。
音がして。
階段の上から燐の声。
「何してんの」
「何でもない、燐」
「早く捨ててこいよ、黎」
「はいはいはいはい」
…………燐のことは?
何。
言ってんだあいつ。
なんで燐が出てくんだよ。
燐は別に。
別に…………?