第1章 燐—りん—
瑠璃。
ふたつ下の、僕の、僕たちのかわいい妹。
父が突然瑠璃をウチへと連れてきたのは瑠璃がまだよっつの時だったか。
親友の娘、だとかで。
大事な大事な親友の忘れ形見だと言っていた。
ある日突然事故で両親を亡くして、全然知らない家に引き取られて。
まだよっつの瑠璃にとってはただただ恐怖だったと思う。
くまのぬいぐるみを抱いたまま、毎日泣いていた。
いつからだったか。
瑠璃が僕たちを『おにぃちゃん』と、呼ぶようになったのは。
いつからだったか。
僕たちの後をつけ回すようになったのは。
いつからだったか。
身体まで差し出すようになったのは。
『…………るりも、まぜて』
『にぃ、ちゃ…………、ひとりにしないで』
別に誰でも良かったんだ。
ただ都合のいいことに。
いつも同じ顔の、自分の分身がすぐそこにいたから。
それだけのこと。
ただの好奇心。
性への憧れ。
ただそれを、目の前にいた黎で試しただけだったんだ。
キスってどんな?
イくって。
射精す、って。
どんな気持ち?
一度知った快感を手放す理由なんて見つからなくて。
一度でも一線を超えてしまえばあとはもう。
転がり落ちるのに時間は必要ない。
『おにぃちゃん。ルゥをひとりにしないで…………っ』
夏の終わり、まだまだ残暑が続く、秋の始まりだった。
黎とキスしてるところを瑠璃に見られたのは。
『…………じゃぁ瑠璃が俺たちの相手してくれんの?』
些細なことだった。
からかい半分。
本気半分。
瑠璃が逃げるなら別にそれで良かったし。
むしろそうして欲しかったのかもしれない。
僕たちから、逃げて欲しくて。
反面。
逃げて欲しくなくて。
瑠璃をただの性処理の道具になんてしたくなくて。
だけど。
めちゃくちゃに汚したくて。
自分じゃもう。
感情の抑えが効かなくなってたんだ。
『…………いいよ』
瑠璃がそう言うであろうとわかりながらも、僕たちは瑠璃に選ばせた。
瑠璃が、逃げるわけないって初めから知っていて。
わざと。
『見せつけた』んだ。