第10章 *過保護 糸師 冴
『あっ、おかえりなさい!!』
「ただいま」
笑顔で出迎えてくれるのは俺の彼女のだ。
とは2年前、スペインで出逢った。
は俺のいるチームの施設の売店で働いていた。
初めて彼女と出会った時は、なんとも思わなかった。
ただ、久しぶりに日本人を見たなってくらいだ。
だが彼女は俺が日本人だと知り、気さくに俺に話しかけてくれた。
不器用な俺は愛想がない返事しか返せなかったが、それでもはいつも笑顔で話しかけてくれた。
『お疲れ様!冴ちゃん!』
「おい、その呼び名止めろ。気色悪い」
『いいじゃん!』
へへっと笑う彼女の笑顔は花のようだ。
気がつけば毎日のように俺は売店に行っていた。
彼女の笑顔を見ると何故か心が安らいだ。
ある日、俺のこと知ってるか?と聞けば苦笑いをしながら彼女は首を横に振った。
は幼い頃から父親の仕事の関係でスペインで過ごしており、最近両親は日本に帰ったが学校がある彼女は1人でスペインに残ったとのことだ。
少しずつ彼女を知るにつれ、俺の中に初めての感情が生まれた。
それは"恋"だ。
サッカーしか知らない俺にとって初めての恋だった。
そんなある日、いつものように売店へ向かったのだが、、、
「おい、は休みか?」
「君は、、、実は、、、」