第11章 いじめられ令嬢は訴える!!
学園の講堂に入ればいつも固い雰囲気とは打って変わって華やかに飾り付けられいて、真ん中では仲睦まじい方々が既にゆったりした曲に合わせて体を重ねる様にして踊っていた。
それを取り巻く雅やかな令嬢、令息の方々。
私も末席ながらエドガー様の腕を取り入場する。
「エドガー様!!」
まずは互いに挨拶回りにと思っていると奥から早足でやって来るのは―――ヒルダとそのお仲間だ。
「エドガー様、又その方とご一緒にいらっしゃって……騙されているのですわ!!」
「騙されている?私が?」
エドガー様は私を抱き寄せて下さった。
それを見てヒルダは目を細める。
「お話しているではありませんか。ハルハーゲン子爵令嬢は私を甚振って愉しむ様な悪役令嬢なのですわ!!」
あら、そうなの。
エドガー様が馬車で聞いてきた事に納得する。
ヒルダは普段からそんな訴えをエドガー様にしていた、と。
そういう事なのね。
「だが、……私はどうにも彼女がそんな事をしているようには思えない」
エドガー様は遠慮がちながら、それでもハッキリと意見を述べて下さった。
そして私を一瞥して、肩をさすってくれる。
私が傷付いたと思ってくださっているのね。優しい方。
私はその手を取り一回ぎゅっと握り、一歩踏み出す。
カツーンッと思い切り音を立てて。
「デニース!!」
呼ぶのは幼馴染の『デニース・ディクスゴード』。
会場に先に着いていてもらう様に頼んでいた。
彼女がドレスを掴み私の側に走り寄る。
そして、取り出すのは―――。