第9章 いぇ~い、王太子殿下見ってる~?
『ふざけないで』という気持ちと、『ああやっぱり』という気持ち。
生まれて初めて病気でも無いのに学園を休んで一日泣き通して。
それでも、殿下を愛し一番近くで見てきた自負のある私だから言える。―――マクシミリアン様の気持ちはもう何をしても変わらない。
そして―――そのプロムは明後日。
分析終わり―――!!
ハハッと乾いた笑いが漏れた。
もうどうにもならないじゃないか。
明後日だぞ、明後日?!
刺されるし婚約破棄されるし、私が何をしたっていうんだ?
いやしたか。私は色恋本営鬼枕したし、シルヴィアはユーリアを学園から追い出そうとした。
嗚呼、とんだ道化だよな私達。
自ら虎の尾を踏んで、窮地に立たされて。
―――もうどうにもならないか?
―――ホントに?
呆けて座った椅子の中で私は問い掛ける。
―――どうせ私は見世物になって今度は落ち目側になるんだ。
ならやってやる。
男装執事喫茶のバリタチお姉様と恐れられた私の手腕を見るといい。
敵は三人―――、マクシミリアン殿下の親友にして騎士団長の嫡子、『エドヴィン・ランナーベック』様、宰相の三男、『ステファン・フェルディーン』様、そして男爵家の次女、『ユーリア・リンドバリ』。