第7章 とりかへばや物語り
今から小規模な会に変更なんか出来ないし、婚約者であるエリオット様を締め出す訳にはいかない。
ハンナとは父関係のしがらみがあって招待せざるをえなかった。
―――奴等はそれが分かっていて共謀しているんだろう。
コメカミを揉む。
一番優先するべきは何?
―――エリオット様との婚約破棄?
まあ、それは最悪なくなっても良いわ。
―――イジメの糾弾?
まあ、事実だし?まあでも私がやったって証拠なんか出てこないでしょう。
―――エリオット様関係で招待した方も糾弾に参加する事?
まあ、取引先みたいなものだし、出来たら黙っていて頂きたいけどそうはいかないんでしょうね?
―――大恥をかく?
これは困るわ。うら若き乙女なんて言っても、今から新たに婚約者を探すってなった時にこんな札付で良いなんて言うのは……ねぇ?
「お嬢様」
物思いに耽っていると部屋の戸が叩かれる。
「入っても良いわよ」
許可を出せば、私付きのメイド―――ヨンナが入ってきた。