第4章 【悲報】演劇部ワイ、咽び泣く
「クラース様、わたくし達あんなに長い時間を過ごしたじゃ御座いませんの……わたくしの事、よく分かっておりますでしょう?」
カツンッと足音を立てて一歩踏み出す。
扇を捨て、両手を組み合わせ、小首を傾げる。
肩に掛かった髪がサラサラと零れ唇に触れた。
それを少し含み、唇に指を当てる。
―――ポロッと涙が再び私の頬を濡らす。
「ソーニャ……」
クラース様が思わずとばかりに声を上げた。
「クラース様!!」
クリスティーンが叫ぶ様に言って、クラース様の腕を掴む。
「クラース様」
私はゆっくりと歩いて行く。
そしてクラース様の前まで行くと膝を折ってその手を取る。
「わたくしを信じてくださいませ」
クラース様は目を白黒させ縋り付くクリスティーンと私を見比べていた。
その顔は赤や青を通り過ぎて土気色だ。
―――さあ、選べ。
勿論、『私』、ソーニャを!!