第13章 天翔る悪役令嬢
今日は久々のオフ。
婚約者の伯爵子息『グスタフ・ウッデンバリ』様を我が家に招いてまあまあな庭園でお茶会の最中だ、―――というのにグスタフ様はため息ばかりついてる。
「はぁ」
これでもう二十回目。
理由は分かっているから大変心苦しいがどうにもならない。
「あの……グスタフ様、それで友人が」
「はぁ、……そうか」
これで二十一回目。
―――私には学友にも、グスタフ様にさえ言えない秘密があった。
その話が私達の間に深い誤解を招いているのは分かる。
でも口が裂けても言ってはいけないのだ。
何しろ―――国家機密なのだから。
私は半年程前、大公様に呼び出され、王城へと拝謁しに行った。
そこで告げられたのが『新規シュバリエ育成計画』、私がその適性があるという話だ。
迷う事等許されない、ほぼ王命なのだから。
確かに私には他より秀でた運動神経がある。
男子にも引けを取らぬ脚力や握力。
体付きには似合わぬ程の力があった。
そして訓練に入ると共に、私『シュバリエ』には、対となる存在『フィアンセ』が要る。
私とマッチング率の高い人間として選ばれたのは騎士団長子息にして侯爵家生まれの『ユーリウス・ハネル』様。
ユーリウス様はフィアンセ適正値が低かったらしくインプラント手術、何て言ったかしらそう―――『アラヤシキ術式』を取り入れ、それになった。