第12章 私、改心しました!
―――アロルド様は言ってしまえば、ハニートラップで私と婚約者になった。一度だけだったとは言え、私の色香に誑かされ乙女を散らしてしまった、という事実は彼にとっては責任を取らなければいけないという思いになり。
私はそこを狙っていた訳だけどね。
お固いアロルド様ですら、私の外見とおっぱいには抗えなかったって事。
アロルド様は何ていうか……、
「マルティナはどうしてるかなって」
目を伏せてアロルド様。
「他の女の所に来ては、ラーゲルべック嬢がヤキモチをやきましてよ」
マルティンが静かに私達にお茶を出すので私も椅子に腰掛ける。
「フレヤには振られたよ」
アロルド様の言葉に私は咳き込む。
「な、何故?」
尋ねればアロルド様は私を見た。
恋人だった時の様に―――。
私にとってアロルド様は美しいトロフィーで、アロルド様にとって私は庇護の対象で―――。
私達はちぐはぐで合わない恋人。
それでも私はアロルド様を愛していた―――。
「もう大丈夫、なんだって」
お茶を飲んで彼は言う。
その言葉は何だか私の胸にも、ズン、と響く。
「だから私の所へ?」
態と笑いを誘う様に高慢ちきな言い方をする。
アロルド様は力無く笑い、頷く。
「面目ない。こんな姿を見たくないだろう」