第12章 私、改心しました!
―――そして数日の内に、『沙汰』が公表された。
停学半年―――勿論、それに伴い落第、私は留年が決定だ。
それでも軽いモノだ。宰相子息の婚約者でありながら、自分より立場の弱い生徒を絶望に追い込んだ事実は消えない。
私の悪評は広まり、これから良い縁談なんか来ないだろう。
そうだとしても、私はこうすべきだと思ったのだ。
私は決められた停学期間を粛々と全うしている。
腐っても伯爵令嬢だから自宅学習に、今までより、より厳しくありとあらゆる習い事をさせられた。
私が将来少しでも良縁に恵まれる様にだ。
―――時間は腐る程あるのだから。ふふっ。
―――ある日、
「お嬢様、お客様です」
勉学の休憩中にマルティンがやって来て告げる。
「私に?だぁ……」
「マルティナ」
マルティンの後ろからひょっこり顔を出したのはアロルド様だ。
「アロルド様……いいえ、ボードストレーム卿。ごきげんよう」
挨拶をすれば、アロルド様は手を振った。
「アロルドで良いよ、マルティナ」
アロルド様は勝手知ったるとばかりに椅子に座る。
マルティンはさっさとお茶を用意する為に下がって行く。
「貴方は……何故ここへ?」