第12章 私、改心しました!
以前の私ならアロルド様の情けない姿には鼻白んだかもしれない。
だが、私は違う。
お茶を置き、立ち上がるとアロルド様にもお茶を置かせ。
その手を―――、
「大丈夫?おっぱい揉む?」
胸に押し当てた。
無意識なのかむにゅっと指が胸を掴む。
「マルティナは誰にでもこういう事をするのかい?」
しっかり私の胸を掴んだまま、それでもアロルド様は真面目に聞いてくる。
だから私は赤らんで見せた。
「アロルド様だからです」
それは私の総意だ。
『私』はトロフィーハズバンドとしてアロルド様を見ていたが、操は立てている。
アロルド様以外に体を許したり、ましてや触らせたりしなかった。
バカのアホの性悪暗黒色の『私』だったがそこだけはしっかりしている。
「でも、私達婚約破棄したのですし、こんな事すべきでは無かったですね」
掴んでいたアロルド様の手を離す。
が、アロルド様は私の胸を離さない。
「いや、口約束はしたが、私達はまだ書類上では婚約しているよ」
言われて、そういえばそれについてまだ片付けていなかった事に思い至った。
「すぐにでも致しましょう」
言って身を捩る私を立ち上がったアロルド様が抱き締めてくる。