第12章 私、改心しました!
ゴルゴダの丘を登るイエス・キリストの気持ちで会場を歩いていく。
アロルド様はフレヤと一緒に居た。
そして私をキッと見つめる。
「今日、君との婚約を正式に破棄しようと思う」
一礼して挨拶した私にアロルド様が言う。
「はい、存じております」
言いながら私は自ら膝を折り頭を床に付けた。
所謂、土下座だ。
「ラーゲルべック嬢を甚振った事の責は全て私にあります」
頭を垂れたまま私は言う。
俯いているから周りがどよめいている事しか分からない。
「もし少しでも気が済むなら私の頭を踏み付け、頬を殴っていただいても構いません」
―――ただ、と切り出す。
「もし、私を処罰するつもりなら喜んで受け入れます、でも両親は関係ございません。どうかお家取り潰し等は平にご容赦下さい」
額を床に擦り付ける。
そうしていると、明らかに私へのどよめきとは違う物が起こった。
「マルティナお嬢様!!まあなんて酷い事を?!」
ここでする筈のない声が上がり抱き起こされる。
「マルティン?!……みんなどうしたの?!」
いつの間にやら私の周りには私の屋敷の使用人達が集まっていた。
「お嬢様が断罪されると聞いて黙っていられなくてっ?!みなで駆け付けました!!」
「お嬢様は、このジジの汚い手にクリームを塗って手袋までくださったんだ?!」