第11章 いじめられ令嬢は訴える!!
「う、う、う」
ヒルダはきゅっと眉をつり上げる。
「嘘ですわ!!殴られたのもなじられたのもわたくしです」
言うヒルダに私はジャッと扇を閉じ、帳面を叩く。
「では直近ではいつ?」
「昨日の放課後に……」
ヒルダが叫ぶが、エドガー様が顎をさすった。
「昨日ならば、リンダは私が家に招き茶会をしていた筈だが」
「それより前にっ」
「いや、それは無い。私が教室まで迎えにゆき、そのまま連れて行ったから、そんな時間は無かった」
エドガー様が的確に論破していく。
横を見ればエドガー様は険しい顔をしている。
「貴女がリンダにいじめられていると打ち明けてきて、本当ならば私は婚約者として彼女を諌め、場合によっては処罰を訴え出るつもりだった……だが、こんなに可憐なリンダにそんな事が出来るようにはまったく思えないとハッキリ言おう」
あら、褒め過ぎですわ。
わたくし、『悪役令嬢』でしてよ。
全ては掌握済み。文字通りに。私の計画通り。
「リンダ、最近私に肌を見せたがらないのはこの所為だったのだね。すまない。本当ならば私が気が付いて糾弾すべきだった」
私の腰をしっかと抱き締めるエドガー様。
ンンっ、事実なんですけれどもさり気に恥ずかしい事を匂わせてますわ。
これは態となんですの?!
「茶会の後も部屋に来ないかと誘ったのに帰ってしまったのはそういう理由だったんだね」
はわわ、それ以上匂わせは止めて下さいませ?!
「リンダは優しいから、言い出せなかったのだろう」
エドガー様がハンカチを出し目元を拭う。
嗚呼やだそんな男泣きされる様な事では。
「可憐なリンダ。君は本当に強い女だ」
抱き寄せ過ぎてもう私達某ぷ〇よぷよみたいにくっついてしまいそうでしてよ?!