第11章 いじめられ令嬢は訴える!!
「そ、そんな、私やっていません」
ヒルダはまだシラを切るつもりらしかった。
「ならば先程申し上げた日時に貴女の周りにいるご令嬢方以外にニールンド嬢を見かけた人はいらっしゃる?」
言って辺りを見渡す。
ヒソヒソ何やらみなさん密談なさるだけで声は上がらない。
ま、それはそうよね。
私が述べた事が真実なんですもの。
「ニールンド嬢、これ以上私の婚約者を侮辱するなら『ヴェックストレーム家』から正式に抗議させて頂く」
エドガー様がピシャリと言い、ヒルダは唇を噛む。
「行こう。挨拶回りをしなくてはね」
私達は身を寄せあって三人で歩き出す。
そっと振り向きヒルダにべっと舌を出した。
「…………ンンンッ」
ヒルダは何か言おうとした様だが本当に今度こそ口に出したらエドガー様から手痛いしっぺ返しを貰う事を分かっているのだろう。
黙っている。
私はエドガー様の深い愛に触れ、その腕にもたれながら、デニースの手を握り幸せを噛み締めた。
そこには『』だった頃には無い幸せがある―――。
私の胸にはあの時貰ったネックレスが光っていて。
もう、引き返せない、幸せの海がそこに広がっていた。