第9章 脅威
そのまま宿儺は悠仁を椅子代わりに腰を下ろす。
悠「う"ぼっ!」
宿「ここはあの世では無い、俺の生得領域だ。」
悠「?」
聞いたことのある単語…………だが悠仁は忘れたようでピンと来ていなかった。
宿「馬鹿め。…………“心の中”と言い換えても良い。俺たちはまだ死んでいない。オマエが条件を飲めば心臓を治し生き返らせてやる。」
悠「偉っそうに。散々イキっといて結局テメェも死にたくねぇんだろ。」
宿「事情が変わったのだ。近い内、面白いモノが見れるぞ。」
そう言い宿儺は薄く嗤う。
頭に思い浮かべているのは恵だった。
宿(許嫁の件もあるしな………。)
宿「条件は2つ。①俺が【契闊】と唱えたら1分間、体を明け渡す事。②この約束を忘れることだ。」
指を2本、立て条件を悠仁に伝える。
悠「ダメだ。何が目的か知らねぇがキナ臭すぎる。今回の事で、ようやく理解した。オマエは邪悪だ。もう2度と体は貸さん。」
宿「はー、うざ。ならば、その1分間誰も殺さんし傷つけんと約束しよう。これで良いだろう。」
悠「信じられるか!」
宿「信じる、信じないの話ではない。これは“縛り”、誓約だ。守らなければ罰を受けるのは俺。身に余る利益を貪れば報いを受ける。それは小僧が身をもって知っているはずだ。」
悠「前は大丈夫だったろ!」
宿「あの時は俺も代わりたかった。オマエも、あの術師に言われてやっただけ。」
以前、悟と宿儺が対峙した時は悠仁が宿儺の力を利用した訳ではなく宿儺も交代する事に否は無かった。
つまり、利害が一致していた。