第9章 脅威
恵(もう呪力が……………。)
宿「オマエの術式、影を媒体にしているのか。」
恵「なら、なんだ。」
宿「フム、わからんな。オマエあの時、何故逃げた。…………宝の持ち腐れだな。」
そう言い宿儺は嗤う。
恵は返す言葉が見当たらない。
宿「どの道その程度では心臓は治さんぞ。」
恵(バレバレか。)
宿「つまらん事に命を懸けたな。この小僧に、それ程の価値は無いというのに。」
恵(俺は不平等に人を助ける。)
恵は覚悟を決めた。
空気が変わった事を宿儺が察する。
宿「良い、良いぞ。魅せてみろ!伏黒恵!!」
目の前のガキが生贄から興味に変わる。
呪いの王が1人の男を認識した瞬間だった。
恵「布瑠部由良由良。」
恵は詠唱する。
八握……………、そこまで唱えて言葉は途切れた。
恵「……………俺はオマエを助けた理由に論理的な思考を持ち合わせてない。危険だとしてもオマエのような善人が死ぬのを見たくなかった。それなりに迷いは、したが結局は我が儘な感情論。俺は正義の味方じゃない、呪術師なんだ。」
悠「……………そっか。」
恵の話し相手は宿儺ではなく悠仁に変わっていた。
悠「伏黒は頭が良いからな、俺より色々考えてんだろ。オマエの真実は正しいと思う。でも俺が間違ってるとも思わん。」
恵「………………。」
悠「あー、悪い。そろそろだわ。」
そう言った瞬間にボタボタと大量の血が落ちる。