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ロドスの日常[方舟]

第27章 サリアの魅力


「おはよう。元気か、ドクター」
「おはよう、サリア。早めに来てくれたんだね」
 今日の秘書はサリアだ。秘書というのはオペレーターたちの交流にもなるし、私はよく秘書を変えている。
「お前がまた無理をしていないか見張りも含めているとアーミヤから聞いたぞ」
 とサリアは言いながら既に一束の書類を整理し終えたらしく、来客用にあるソファの前のローテーブルで紙の端をとんとんと揃えている。いつも大きく重そうな盾を支えているその手が、書類の上では繊細な動きをしていることに私はつい目が奪われてしまう。
「どうした、ドクター。座らないのか」
 いつまでも扉の前に立っていたからだろう。サリアが不審そうにこちらに目を向けた。私は慌てて体を動かした。
「あ、ああ、そうだな……」
 となぜか私はサリアの向かいのソファに座ってしまい、ますます怪しまれてしまった。
「まだ寝ぼけているのか? 今日は休んだ方がいいんじゃないか」
 とサリアに言われてしまう。
「ごめんごめん……眠気覚ましにコーヒーを淹れるよ」
 と私は執務室のすぐ横にある簡易キッチンにてコーヒーの準備をする。その隙にサリアの方をちらりと盗み見すると、やはりその手や指先は繊細な動きをして書類に触れている。
「サリアはブラックかい?」
 そういえばサリアはどういうコーヒーを飲むのだろうと好みを聞くと、雄黄色の目がこちらを向いた。
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