第23章 あらぬ疑い
「失礼しやす〜」
軽食を片手にドクターの執務室に来ると、やはりそこにはソーンズさんがいた。ソーンズさんがこちらを見ると、俺の後ろにしがみついているムースさんが慌てたように顔を隠した。
「軽食持って来やしたんすが、大将はどちらに?」
この軽食は執務室に来る理由として持ってきたものだったが、ソーンズさんもいるとのことで多めに盛って来ていた。ソーンズさんはちらりと自分の向かいのソファにいる塊を目で指した。
「そこにいる」
ソーンズさんはそれだけ答えた。
「大将……?」
覗き込むと、大将はソファで横になって眠っていた。あ、疲れていたんだなと思ったが、よくよく見ると確かに大将の手足は紐で縛られていた。結構キツめに。
俺は軽食を二つのソファに挟められたローテーブルの上に置く。ソーンズさんの距離はますます近くなり、ムースさんが服の裾を掴む力が強くなった。
「大将、なんで縛られてるんです?」
俺は普通に聞いてみた。それはムースさんに言われたからであったが、こうして見ると寝ている大将を縛る理由が俺にも分からなかったのもある。ソーンズさんも普通そうに答えた。
「ドクターの指示だ」
それだけ。
「へぇ、そうすか」
大将も妙な人だ。ソーンズさんにそんな変な指示出すんだ、と思っていると、今まで怯えてばかりだったムースさんがようやく声をあげたのだ。