第13章 ジェイの憂鬱
「ジェイもカッコよくて顔いいじゃないか」
「え?」
聞き間違い? 俺は一瞬固まった。
「あー、ジェイにも気づかれちゃったか〜」と大将は言いながら椅子の背もたれに寄りかかった。「実はね、私たまにカッコイイオペレーターで編成を組んでいることがあって。それが一昨日の作戦。作戦資料作ってるだけで楽しくなっちゃったよ」
何言ってるんだ、この人。
俺が何も言わないのを良しとしたのか、大将はどんどん話し続けた。
「火力高い子たちで組まなきゃいけないこともあるからさ、いつも同じように組む訳にもいかなくて……あ、でもみんなカッコイイけどね? ガーディやヴァーミルは、どっちかっていうと可愛い系じゃない? サリアやサイレンスとかはお堅いしさぁ……」
そうだったのか。俺たちの編成って、そんなふうに決まっていたのか。
俺が何も言葉を返せないでいると、執務室からノック音が。どうぞ、と大将が返事をすると、大柄な男が入ってきた。
「ドクター! この前の壊れたプリンターを修理してきたぜ」
「ありがとう、ヒューマス」
と大柄な男、ヒューマスとやらが機械を押して入ってきた。こんなオペレーターもいたものかと俺は食堂の記憶を遡ると、確かにこんな人物もいたなと思い出す。ヒューマスはつらつらと、大将に直したプリンター? の説明をしていた。
「えっと、彼はどういう系っすか?」
俺は半分好奇心で聞いてみた。大将はくるりとこちらを見て小声で答えた。
「渋い系かな」
内緒だよ、と言わんばかりに口元に人差し指を出す大将。ヒューマスが俺らのこのやり取りを見てこちらに目を向けた。
「なんだぁ? 二人とも、コソコソと内緒話か?」
「ふふ、そうなんだ。いつかヒューマスにも話してあげるよ」
「そいつぁ楽しみだな」
いつも隠してばかりの大将が、一つ秘密を打ち明けてくれたみたいで俺はちょっと嬉しかった。
おしまい