第8章 オシャレな君に
「いつも頑張ってるオペレーターたちのお礼に、衣装をプレゼントするのはどうかなって!」
「オペレーターたちに……?」
私は少し迷った。オペレーターたちは皆顔がいいし、スタイルもいい。それに私は常々オペレーターたちに感謝を伝えたいと思っていた。そのお礼がいつも身につける物なのは悪くないと一瞬でも思ってしまったのだ。
「いやでも、私今月は金欠だから……」
「あ、ドクター。そこで何してるの?」
「レオンハルト!」
私が断ろうとしていたところにレオンハルトの登場だ。私が説明するより早く、商売上手なクロージャがスラスラと衣装の話をしていく。そして最後にクロージャはこう言ったのだ。
「実際買わなくてもさ、試着して見せてもらうだけでもいいんじゃない?」
それって絶対私に買わせようとする口車だよね? 私が言い返すより早く、レオンハルトが返事をした。
「へぇ、いいね! 今から俺の新しい服を買ってくれるってことだよね? ドクター!」
「そうは言ってないが……」
「じゃあ試着してくるから、似合いそうなもの一つ買ってね! 約束だよ?」
「えっ」
レオンハルトが、私の「待て」を聞いた試しがない。矢継ぎ早に話し終えたあと、レオンハルトはクロージャに案内された試着室に向かって行った。どうやら私には断る権利はないみたいだ。
私は自分の所持金を確認しながら、少しだけ、レオンハルトの衣装が気にはなってはいた。