第8章 オシャレな君に
ロドスの中層エリアには様々な施設がある。
オペレーターたちが休める宿舎だけでなく、みんなの健康を考えて食事を作っている食堂、知識を得たりするための閲覧室に治療の一種として作られた療養庭園。他には、娯楽室なんかもあって、オペレーターたちは戦場に行く合間に各々ひとときの時間を過ごしていた。
「あ、ドクター」
そうしてロドスの中層エリアを散策していると、購買部を運営しているクロージャに捕まった。
「なんだい、クロージャ」
私は彼女に声を掛けられる時はちょっと警戒している。クロージャには色々と世話になっているが……時々、いや常に、私に魅惑的な商品を紹介したり売りつけてくるので彼女の姿を見たら散財しないように気をつけているのだ。
「そんな警戒しなくても! ちょーっと新しく仕入れた商品を紹介するだけだよ?」
それが警戒する理由だよ……と私は思ったが、そこまで言われると気になるのも人間の性。私は折れることにした。
「今回は何を仕入れたんだい?」
すると、クロージャの顔がパッと明るくなった。
「これこれ!」
とクロージャが引っ張り出して来たのは数々の衣装。どれもこれも華やかで煌びやかなものが多く……なぜか女性ものも並んでいた。
「これを、私が着ると……?」
クロージャの考えが分からずに私がそう聞くと、違う違うと彼女は話し続けた。