第33章 もしも現パロの世界なら
「その世界のことを現パロって言うらしいんだけどね? 戦争や鉱石病がない以外は今の私たちと同じように悩んだり喜んだり、共感性も結構ある物語なんだ」とドクターは本を開いた。「もしそんな世界があったら、ジェイはそこでも料理人やってるんだろなぁって思って。ジェイの料理は美味しいからきっとあっという間に大行列だよ」
「そうなるといいっすねぇ」
俺は大将が見えているゲンパロという世界をあまり想像出来ないままそう返事をした。だが大将はそんな俺の適当な返事を気にもせず、楽しげに話を続けた。
「そうなると、マッターホルンも料理人をやってるのかな? あ、でも、面倒見がいいから、意外と保育士をやっていたりして」
「ホイクシ?」
大将は色んな言葉を知っている。俺も読書は結構好きな方なので、ここでつい興味があって聞き返していた。
「子どものお世話をする職業だよ。今で言うと、子どもの患者の面倒を見ている、ハイビスカスたちのことを指すかな」
「ああ、なるほど」
それなら、ハイビスカスさんの方が似合いそうっす、なんて話が盛り上がって、俺たちは自然と、その「ゲンパロ」の世界で二人だけの妄想が広がっていた。