第9章 夏だ!海だ?…の前に!
―――食堂に着くと隅の席に座る。
私の隣に座りたい生徒なんかいな―――いる。
「Hi!……天原ちゃん」
有沙だ。
「有沙」
他の子と食べる事もあるが、有沙は偶に私の隣に座るし食事後の自由時間に部屋に来る時があった。
「何だか嬉しそうだねぇ。何かいいことでもあったのかい?」
配膳の時間が来たので列に並ぶ。
そして座って。
「で、なーにがあったの?」
ご飯をモグモグしながら有沙が言う。
「な、何って」
ちよっと照れる。
とうとうアルタ先輩と、……きゃーーーっ。
「そういえば夏休みどうする?」
有沙は家に帰るのだろうか?
「アタシは馨くんに別荘に行こうって誘われちゃったあ」
―――は、う?
私は今度は味噌汁を吹いた。
今日はなんだかよく色んな物を吹いている気がする。
馨に?
「あ、あら。行くの?」
「うん。折角だし!」
有沙は普通にご飯を食べていた。