第8章 『いっぷ』ではない事3
―――呼び出し。
下着をはくのはずいぶん久しぶりな気がした。
学外に行くのにノーパンなのはマズイかと、一度部屋に戻ってそれをはく。
寮での『いっぷ』の姿をしていない私に態々声を掛けてくる生徒を断りいそいで待ち合わせの場所へむかう。
「アルタ先輩!」
―――代々木田アルタ。
三年の序列三位。
カードゲーム、ボードゲーム、ビデオゲーム何をやらせてもすぐ飲みこむギャンブルの申し子。
この学園で最強の一角をなす人だ。
「美希さん」
走りよる。
「どうしたんですが、学外に呼び出しなんて……」
もしかして……下着は脱いでくるべきでしたか?!
キャーーーーーーッ!!
アルタ先輩とは……何というか難しい。
まず、『いっぷ』をした事が一回も無い。
大体昼の食堂(『いっぷ』禁止地区)か、放課後の賭場めぐりに付き合わされたり。
友達、という程親しくない。
必ず呼び出すのはアルタ先輩で。
御厨お姉様の様に『代々木田お兄様』と呼んだら、『アルタ先輩』が良いと指摘されて。
でも妙に気に入られているみたいで、時々呼び出された。