第6章 『いっぷ』ではない事2
―――学園内にはいくつか『いっぷ』する事を禁止している場所がある。
その一つが保健室だ。
だからもっぱら『いっぷ』をしたくない時はここに来た。保険医も心得たもので、態々とがめたりしない。
保健室で有沙にメッセージをする。
すぐOKの返信が来た。
少しして、有沙がやって来る。
「おまたへー!!購買でパン買って来たよ。天原ちゃんも食ーべよっ♡」
「あら、じゃあお弁当も半分こしましょう」
前日から予約すれば寮生はお弁当を作ってもらえた。
今日は最初からお昼休みはゆっくりするつもりだったのだ。
えっちは好きだけど、こういう時間もほしい。
保健室の隅にイスを三つ出して、二人で座ってもう一つにお弁当やパンを広げる。
「何食べたい?……焼きそばパンとー、メロンパンとー、カレーパンとー、シュガートーストとー」
「有沙は何食べたい?」
私が聞けば有沙はニヤリと笑う。
「卵焼き!」
私ははしで卵焼きをつかみ、差し出す。
有沙は顔を近づけカプっと噛みつく。
「やっぱ、寮のおばちゃんの卵焼き美味しいな」
有沙は笑っている。
だけど何故有沙は『いっぷ』に興味があるんだろう?