第22章 アルタ先輩の推理日記
車窓から見えた景色、海に、ナイトプールの一悶着……美宇さんの甘い夜、御厨お姉様の作る美味しい朝食、観光、花火―――。
楽しかった友人達との旅行。
アルタ先輩は黙って聞いている。
―――時折頷きながら。
ランチが運ばれてきた。
「どっちがいい?」
そして優しく尋ねる。
「じゃあ日替わりの方にします」
店員さんが私の方に日替わりランチセットを置く。
カレーをアルタ先輩の前にサーブして店員さんは去っていく。
「はい、『アーン』」
アルタ先輩はスプーンで焼きカレーをすくってフーフーした後、私に差し出す。
その光景に胸がギュンッとした。
「はい」
答えて、それを食べる。変に意識したら、困らせてしまいそうだ。
そして、私も日替わりランチセットの野菜のフライを、
「はい、『アーン』」としてみる。
アルタ先輩はちょっと驚いてから口を開く。
私達は互いになんだか静かになって食べさせ合ったものを咀嚼した。
「美味しいですね」
「うん、美味しい」