第4章 『いっぷ』ではない事1
―――真人がこの学園に来るなんて思っていなくて。
真人ならもっと上のランクでも受かった筈なのに、当然の様に登校初日に私と同じルチ学の制服を着た彼が迎えに来た時は文字通り飛び上がってしまう。
『だって、天原と一緒に居たいからな』
事もなげに言ってくる真人といると楽だ。
まあまさか、私が奴隷志願をしているとは思わなかった様だが―――。
「痛い所はないか?」
真顔で聞いてくる。
私は首を横に振った。
―――実際痛い事はされない。
『かとる』の扱いはしっかり校則に管理されていたし、それを破ったら勿論処罰される。
奴隷にしておきながら、暴力をふるってはいけないとは何と言うか矛盾を感じる。
しっかり校則を守った上でいくら出しても止まらない思春期の鬱憤や性欲の受け皿として『かとる』は目こぼしをされていた。
「真人こそ序列維持できてんのー?」
真人は別クラだ。
同じクラスなら私が気を付けてあげられるが、他の組ならそうはいかない。