第4章 『いっぷ』ではない事1
―――その後私は軽く二件程『いっぷ』をして帰路につく。
学園には寮がある。
私立の学園だ、名だたるブルジョアジーの子女が通っていた。
お金がある子は毎日車で登校してくるが、私の様な平民は寮に住んでいる。
私室に入ると。
「真人」
私の幼なじみ、遠海真人(とおみまこと)がいた。
基本的に『かとる』の私室は不可侵領域とされているが―――。
そんな事で止められないのだ。幼なじみは。
「天原、お疲れ様、か?」
私は髪を縛り、制服を着替える。『いっぷ』用の中間服。
これから間違いなく『いっぷ』になる。
だからこうして『かとる(寮の姿)』になるのだ。
真人の隣に座った。
「うぅん、全然だよ」