第14章 夏だ!海だ!魅惑の水着ヴァケーション!
「真人、魚いるかな?」
「いたらいいな」
私達は浅瀬で顔を浸して水の中を二人で見る。
小さな魚を追い回し、顔を上げてふと目が合う。
私はにこっと笑う。真人も何だかぎこちなく笑う。
何だかこの前から真人は変だ。
あれだけ私と関係を持つのを嫌がっていたのに、抱いてきたり―――。
それも泣きながら。
どんな心中でそんな事をしたのか私には分からない。
これが真人の言う、『どうせ理由は分からないんだろ?』なんだろうか。
「水着、似合ってる?」
肩紐に指をかけて言う。
「うん。可愛い」
やっとちょっと笑ってくれた。
「楽しいね、海」
見上げれば大海原の様な青い空。
―――この澄んだ空みたいに何も考えないでいられたら良いのに。
それは詮のない事。
私は真人に水をかける。
真人がかけかえしてくる。
水の中をかけて泳いでそれから逃げた。
いつか私も―――。
そんな事を考えながら。