第3章 いっぷ・赤
授業に清掃時間が終わり放課後―――さあ今日は誰が『いっぷ』を申し出てくるだろう。
どんな『いっぷ』を望まれるんだろう……。
ああ何でも良い。昼休みのもやもやを吹き飛ばしたい。
教科書等をカバンにしまっていると―――、
「美希さんはいるかしら?」
教室に顔を出したのは。
「お姉様!」
私はカバンを放り出して入口に向かう。
「美希さん、はしたない」
『ほら、タイが曲がっていてよ』お姉様―――御厨美繰(みくりやみくる)が言って私の曲がったタイを直すがそんな事はどうでもいい。
もしかして?!……もしかしますか?!
「『いっぷ』よ」
―――私の手を取り『ごめんなさいね、皆さん、ごきげんよう』と御厨お姉様が歩き出す。