第12章 やまおり(公式戦after.)
『成部、蜜美ペア』
―――成部はあっという間に車を呼び下半身丸出しの那由太を邸宅、と呼ぶには少し小さな家に連れ込んでいた。
「ここは?」
まだ成部に抱えられたまま彼が問う。
成部は懐かしそうに玄関ホールを見渡す。
清掃はされている、だが、使われている様子のない部屋―――。
そんな雰囲気に那由太は息を呑む。
「ジョン汰の家だ」
―――ジョン汰?
那由太は首をかしげる。
人間の名前では無さそうだ。
成部は迷いなく風呂場へ行く。
「さあ服を脱げ」
抵抗した所でこの男の発言は変わりはしない。
那由太は黙って服を脱ぐ。
男同士だし、何より成部がクラスで実質那由太を独占しているから『たろ』でありながら酷い目にも遭わなかった。
今日だって『ペアリング』をしてくれて。
だから感謝だってしていない訳ではない。
何より今日の―――この家に入ってからの成部の目はいつもよりいっそう優しかったからだ。