第12章 やまおり(公式戦after.)
『軽磨、狩宿ペア』
―――全くムードは無い。
だが、互いにまるでウブな恋人達が初めて性行為を約束した時の様に、委員会棟から一番近い『いっぷ』用トイレにもつれこむ。
とても雰囲気を気にした場所まで、我慢できなかったのだ。
個室で向き合う。
鈴鹿は白いはずの指先まで赤くそめて俯いていた。
「鈴鹿ちゃん、さっきの『他の『しろ』と仲良くしないでください』って、どういう意味」
軽磨が問えば、彼女は肩を震わせる。
そこを軽磨は撫でた。
「ごめん、嫌なら答えなくても良いけど……」
軽磨は言って、顎を指でさする。
「『ヤキモチ』だったりする?」
軽磨の言葉に、又鈴鹿は震えたが、顔を上げた。
そして、目の前にいる『ご主人様』の肩に手をのせる。
「はい」
小さな声だけど、それは静かな個室に響く。
はぁーーーーと重く軽磨はため息をついた。
「美希さんの様な性に闊達な女性が好きですよね」
震える声でつむがれるそれに又軽磨はため息をつく。
「お兄さんは鈴鹿ちゃんだから好きなんだよ」
言って、彼女を抱きしめる。