第11章 公式戦
「じゃあ、今ショーダウンしたら全員リーチかけてくるって訳だ」
今度は点棒をチャラチャラならして千波様が言う。
「違いますか?」
私は答えて左右を見た。
「我はセブンブリッジの方が得意だ」
「お兄さん、イカサマなんかした覚えないなあ」
二人は不敵に笑い、後ろで蜜美様と狩宿様が何やらあわてている。
イカサマは罰則対象だ。
だが、勿論バレない様にやるし、それを看破してそれが事実だと認められなければいけない。
それを態々言及するのは面倒だ。
そう思っていると、千波様が自分の牌を盛大に巻き込みながら倒れた。
「つーまーんーなーいー!!」
そのまま周りの牌をぐちゃぐちゃにしていく。
「にあるちゃん!!」
波多野様が千波様の肩をゆする。
「るかちだってこんなんつまんないだろし?」
千波様は着ているパーカーからトランプを出す。
「別のゲームしても良いんだよな?」
有城さんに問いただす。
「はい。こちらが用意したものが不服な場合、プレイヤー全員の同意があれば好きなゲームに変更していただいてかまいません」
有城が静かに答える。
「ページワン、大富豪……ベターにポーカーにするし?」
『でもあーしテキサスホールデムって好きじゃないんだよなあ。みんながどんな手札で勝負してるか知りたいし!』と千波様は言いながらジャラジャラ、牌を箱に適当に詰めていく。