【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第3章 【R指定】後宮の外に毒の華が咲く③
(あの時も貴方はこうして慌てて皇命を出して私を呼び出したわね。)
普段政を一切拒否している壬氏が、唯一出した皇命。
あの頃はまだ、他の人に嫁ぐ事も考えられずに。
ただ婚姻を伸ばした瑞月を恨んでいた。
彼の理解出来ない理想と、自分の理想が噛み合わなくて。
月娘は初めて壬氏から離れると癇癪を起こした。
瑞月の言い分を聞く事もしないで、ただ自分の怒りの殻に閉じこもった。
絶対に瑞月に会おうとしない月娘に、瑞月は皇命で無理矢理会う機会を作った。
(……あの時は………。)
その時は結局、瑞月と分かり合える事は出来なかったが。
その時の事を思い出して、月娘の顔が少しだけ薄紅色に染まった。
けれど今だって、彼の気持ちが全て分かるはずは無かった。
現皇帝を支える事を決意した壬氏が取った行動は、後宮入りし、中から皇帝の反乱分子を暴く事だった。
理解出来ない訳では無い。
心が追いつかないのだ。
それを壬氏が分かってくれないのが2人の拗れている原因だと月娘は思っている。